訛ったおじさんと、隣にいる甘えた声で話す愛人風の女性。一度は見たことのある人が多いだろう、夢グループの通販CMである。
DVDプレイヤー、自転車用ヘルメット、ひんやりリング、草刈り機など、主に高齢者を対象に話題の商品を販売している。訛ったおじさんは、夢グループの石田社長、愛人風の女性は、所属歌手の保科有里である。
その夢グループでは、昭和デビューの歌手によるコンサートを開催していることは、ご存じだろうか。
2023年10月現在では、「夢スター『春・秋』」と「細川たかし＆長山洋子～ふたりのビッグショー～」の2つのコンサートが全国各地で開催されている。
週刊さんまとマツコでも、度々夢グループの特集が組まれている。北海道では放送されていないが、Tverで一度見たことがある。1日2公演という強行スケジュールで、長山洋子さんが「北海道の公演の際の移動がかなりしんどかった」と話していたとのことであった。当日の朝に北海道入りし、北見、紋別、留萌、旭川を2日で移動して公演するというかなりハードな日程であった。
また、お弁当が冷えていてみんなでお金を出しあって電子レンジを購入したとか、男性は70歳以下は一人で楽屋入りしなければいけないとか、終電ギリギリで帰らなければいけないので走ったことがあるとか、裏ではかなり経費削減していることがわかり、かなり面白かった。
「夢スター『春・秋』」は、主に昭和にデビューした歌手19組が一堂に会して、それぞれ自身のヒット曲などを歌うコンサートである。出演している歌手は下記のとおりである。
春組
・石井明美
・おりも政夫（フォーリーブス）
・黒沢年雄
・桑江知子
・ZERO
・平浩二
・狩人・高道
・チェリッシュ
・ロザンナ
秋組
・晃（元フィンガー5）
・あべ静江
・伊藤咲子
・大野真澄（元ガロ）
・西口久美子（青い三角定規）
・尾藤イサオ
・三善英史
・リリーズ
・春組、秋組には属していないが、石田社長と保科有里も出演する。
出演歌手の名前を見て、反応は様々だと思う。
かつてヒット曲を出していたが、最近はTVなどで見かけなくなった人たちともとれる。
また、40代以下だと上記の歌手をほとんど知らないという人も多いだろう。
私自身も、子供のころから知っていたのは狩人とフィンガー5だけであった。
狩人は、夜もヒッパレによく出演していたことや、親があずさ2号の話をしていたことで知っていたし、フィンガー5は大ヒット曲ということでTVでよく特集されていたように思う。一昨日放送されたMステでも、フィンガー5の学園天国がダンスソング特集で挙げられていて、ダンサーが1.3倍速で踊っている動画が話題になっているとのことだった。
「夢スター『春・秋』」は、以前は「同窓会コンサート」という名称で全国各地でコンサートを開催していた。当時いたメンバーの一部は、「夢スター『春・秋』」にも出演している。
なぜ、名称が変更されたかというと、2018年に「同窓会コンサート」に出演していた西城秀樹さんが亡くなったからである。「同窓会コンサート」の中心的な存在となっていたため、名称、構成を変えたのだろうと思う。
私が同窓会コンサートについて知ったのは、西城秀樹さんが亡くなられた後のため、行ったことはなかった。でも、ファンの方や出演者のブログやSNS、youtubeなどでかなり熱いコンサートであることを知った。特に今陽子さんは、命日など節目には秀樹さんとの写真とお話をブログに書かれている。
2022年亡くなった葛城ユキさんも、亡くなる10日程前に夢グループのコンサートへ出演していた。末期がんを患い体調が良くない中、車いす姿で出演していたのが最期の姿となった。
年齢を重ねても人気や健康状態を維持して、ソロでホールなどのツアーが出来る歌手はほんの一握りである。
単独では集客や体力などの面でコンサート開催が難しいが、19組出演のフェス形式にすることで歌手にとっても定期収入が見込める。お客様も沢山のヒット曲をあれこれ一度に聴けて喜ばれる。CDやグッズを購入することで、歌手と交流することも出来る。昭和歌謡の再ブームを牽引してきた一人が、実は夢グループの石田社長ではないのかと思っている。
最近は元気な高齢者も多いけど、体力や気力が衰えてしまって趣味を楽しむこともなくなってしまう高齢者も多いようだ。TVに出ない＝活動していないと捉えがちだけど、地元にかつてのスターが来ることを知ると行ってみようと思うのではないか。
まだ、夢グループのコンサートに行ったことはないのだが、一度行ってみたいと思う。石田社長や出演している歌手がどんな思いでコンサートをしているのか、お客様の熱気などは実際に行ってみないとわからない。（ただ、平日開催であることと、北海道にはなかなか来ないのでハードルは高いが…）
これからの高齢者向けのエンタメとかビジネスをどのように展開していくかという点でも参考になることは多いのではないかと思うので、これからも夢グループには注目していきたい。
参考HP
シニア層を狙いスターを囲い込む「夢グループ」の手堅いビジネス 通販CMもクセになる！ - wezzy｜ウェジー (wezz-y.com)
